130万円の壁について

最低賃金が毎年上がり続けている中で、年収130万円以上になると扶養から外れ、保険料の支払いにより手取りが減ってしまうため、人手不足にもかかわらず働く時間を調整しているパートやアルバイトが多くいらっしゃいます。

保険料について

扶養範囲から外れた場合
健康保険は国民健康保険、もしくは就業先の健康保険に加入。
年金も国民年金保険料を納付するか、就業先の厚生年金保険への加入。

例)月12万円で社保加入 (40歳から64歳/令和5年3月分以降/岐阜県)
健康保険:6,856円 厚生年金:10,797円 合計:17,653円
年間保険料:211,836円

政府の対応(130万円の壁)

こういった状況の中で、政府は以下を発表しました。(一部文章をわかりやすく加工しています。)
「残業等の理由により収入が一時的に上がった(一時的な収入変動)としても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となる仕組みを作ります。」

具体的な要件

①金額
130万円を超えても良いというわけではない。
扶養と認められるには雇用契約書上、130万円未満であること。
「一時的な収入変動」が認められる上限額はない。

②期間
本年から適用、連続2年まで(※)

※令和7年に次期年金制度改正に向けた社会保障審議会年金部会において議論が予定されている。

③証明方法
パート先の事業主が証明する(証明書のフォーマットは厚労省HP)
複数の事業所で勤務している場合は、原則主たる勤務先が証明

実務ポイント

①雇用契約書もしくは労働条件通知書の作成
健康保険組合等の保険者が被扶養者の資格確認を行う際に年間の収入を確認します。
その時に口頭のみの確認で終わる可能性もありますが、源泉徴収票等の収入が証明できるものに加え、130万円未満の雇用契約書もしくは労働条件通知書の提出を求められる可能性がありますので、短時間労働者にそういった書類を整備していない会社は書類の作成と通知といった対応が必要になります。

②あくまでも130万円を超えるのは残業分等の「一時的な収入変動」
噂が独り歩きして、130万円の壁がなくなったといわれておりますが、原則は130万円未満でないと被扶養者と認められません。

③これを機に長く働き社保加入へ
社保加入のメリットは、厚生年金の上乗せ・傷病手当金・出産手当金等ありますので、労働時間を調整せず年収の壁を意識しない働き方にシフトする(させる)方法も一つです。

※2023年11月10日現在の情報です。